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実績・コラム
書と人生をともに歩んだ女流書道家の教え
- #コラム
2016.10.12
「文字はね、上手い下手じゃないのよ。
ひと文字ひと文字、丁寧に書くことが大切なのよ」
書道家の義祖母のことばを
今朝、ふっと思い出す。
卒寿を過ぎているので、もう現役は引退。
かつて、少しだけ書を習ったことがあり
その時わたしに何度も話してくれた。
できの悪い生徒だったので、
文字はさっぱり上達せず、取材の時などは
いつもお相手に殴り書きの乱雑な文字を謝ってばかり。
慌ただしい朝にどうしても
尊敬する方への封書に宛名を書く羽目になり
いつもより緊張していた。
だから思い出したのだと思う。
朝の喧騒がすっと遠のき
襟を正して椅子に座りなおす。
下手はヘタ。
ならば、心だけでも文字にも載せたい。
心地よい時間だった。
しかし書き終わり、思わぬことに気づいてしまった。
わたしは今まで、封書に書く文字を
丁寧に書いてなかった。。。
これまで何度、封書に宛名を書いたことだろう。
見積り、請求書、領収書、お礼状。。。
忙しさにかまけて心を届ける気持ちがなかったのではないか。。。
今朝、心を載せたい、と感じたのだから
反対から見れば
いつもは、心を載せたい、と意識していないことになる。
自分に愕然とした。
少しの時間なのに
相手にかける時間を惜しんでいた。
わわわわわわわ、なんて不遜なんでしょう!
気づいてしまったのだから
今日から考えを変えてみよう。
おばあちゃん、ありがとう♪
10年前に口酸っぱく言われたこと
やっと分かりました。
気づくのにこんなに時間がかかりました。
ほんと、遅くてごめんなさい。
そして、ありがとうございます。